紅の葬送曲
「あ、復活したんだね。浅井さん」
すると、私の横に気配なく、芦葉さんと佐滝さんが立った。
でも、体はそれに慣れてしまったらしく、驚くことはなかった。
「はい。ご迷惑をお掛けしました」
頭を下げると、二人は「気にしないで」と頭をポンポンと撫でてくれる。
「それにしても、志摩と才暉はうるさいな」
顔を上げると、佐滝さんはまるで馬鹿を見るような目で志摩さんと羽取さんを見ていた。
「それに対して、詩依ちゃんと紅斗は和みすぎ」
そんな佐滝さんの隣で紅斗と詩依さんの和んだ空気に苦笑いを浮かべる芦葉さん。
確かに対称的だけど、見ている側からすれば面白い光景だった。
「志摩さんは容姿とか性格も含めて藤邦さんに似てますよね。詩依さんは……蓬條さん似ですかね?」
今見る限り、志摩さんは本当に母親である藤邦さんによく似ていて、詩依さんは父親である蓬條さんに似ている気がした。
「確かにそうかも。でも、詩依の性格は依良って言うより冬雪ちゃんかな」
冬雪ちゃん?
頭を傾げると、佐滝さんは「あ、君は知らないんだね」と困ったように頬を掻いた。