紅の葬送曲
私は反射的に汀様を守るように男達の前に立ち塞がった。
「何だ、てめぇは?……その制服、翔鷹か」
「アンタ達は……反政府態勢派の……」
目の前の男達が着ているパーカー、それは人体実験や飼い犬(犯罪者を裁く犯罪者)を行った政府を対する反感分子の組織のものだ。
それに、よく聞けばその声は以前諜報課が入手した組織のリーダーの声に似ている。
「彼に何の用?用なら私が──っ!?」
腹部に打撃を感じたかと思えば、意識が遠くなっていく。
その場に膝をついてどうにか意識を保とうとするけど、力なく男の肩に担がれた汀様の姿が見えた。
汀様が連れて行かれてしまう……。
奴等の狙いは何となく想像がつく。
だからこそ、汀様は──。
ふと、私の体もフワリと浮いて殴られた腹部に肩の骨のゴツゴツした感覚がした。
私も連れて行かれる……。
そう思ったと同時に、私の意識は途切れてしまった。
「あれは……汀と浅井……?」
フードを目深く被った影が物陰からその光景を見ていた。
一重の切れ長の瞳が細められると、その影は動き出した。