紅の葬送曲
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「っ……く……はっ……」
腹部を蹴られて、私は体を前に折った。
頬が……頭が……体が痛い……。
反政府態勢派に連れ去られた私と汀様は海岸沿いにある使われていない倉庫にいた。
気を失っていたのに、私は水をかけられて起こされると男達から暴行を受けていた。
殴られては蹴られ、蹴られては殴られるの繰り返しだった。
「言い様だな、翔鷹さんよぉ……」
リーダーと思わしき男は私の頭を踏みつけると、煙草の灰を落としてきた。
「政府の犬め。ワンって鳴いてみろよ」
男達の下品な笑い声がする。
私はそれを無視して、汀様の方に視線を移す。
幸いにも汀様には危害は加えられていない。
「ほら、鳴けよ。鳴かねぇならこれ、押し付けんぞ」
そう言って、男は煙草の火がついた方を私の方へ向けてくる。