紅の葬送曲
「あ゛……ぐ……」
頭に走る激痛に呻くと、髪を鷲掴みにして顔を上げさせられた。
目の前には殺人鬼のように目をぎらつかせた男がいる。
「女だから手加減してやれば調子に乗りやがって……」
「女だからって甘く見てると痛い目見るよ、馬鹿」
挑発するように言うと、逆上した男は私の頭をそのまま壁に打ち付けた。
さすがにヤバイかも……。
別に挑発するつもりなんてなかった。
でも、男の言っていることは全て事実なのに納得できなかった。
納得してしまえば、全てを否定することになる。
寿永隊長達三名家の人たちや人体実験で産み出された羽取さん達。
そして、人体実験で産み出された男の子である私や紅斗、摂紀お兄ちゃん。
何もかも否定することになってしまう。
それが私には耐えきれなかった。
壁に頭を打ち付けた私は今度こそ脳震盪を起こしたらしく、意識がまた途切れそうになる。
──ガタン。
すると、何処から物音がした。
と同時に男達の呻き声と倒れる音がした。