紅の葬送曲
小鳥遊君達が助けに来てくれたのかな……。
朦朧とする意識の中で、顔を上げるとその人はフードを目深く被っていた。
複数人いる男達を一人で倒していく。
その人の動きには何処か見覚えがあった。
誰だっけ……?
その人は男達を倒し終えると私の方へ近付いて来ると、肩と膝の裏に手を入れて抱き上げ、そのまま歩き出した。
私の体を出来るだけ揺らさないように優しく運んでくれる。
すると、その人からシャンプーの香りがした。
この匂いって確か……いや、彼がいるはずがない。
多分小鳥遊君だと思っている私は
「遅いよ……、小鳥遊君……。お陰で傷だらけだよ……」
と嫌味を言った。
私の嫌味にその人は小さく息を吐くと、倉庫を出てすぐの所に私を寄り掛からせる。