紅の葬送曲
「紅緒がそう思ってるなら僕もそう思うよ。何となく彼が死ぬのは想像できないしね」
紅斗は小さく笑うと、椅子に座り直した。
すると、病室のドアがノックされる音がした。
返事をすると、開いたドアから顔を出したのは摂紀お兄ちゃんと汀様だった。
「紅緒、体はどう?」
「体中痛いけど大丈夫。汀様は……良かった、怪我は無いみたいですね」
摂紀お兄ちゃんの言葉に頷いて、無傷でばつが悪そうにしている汀様に私は笑って見せた。
でも、それが逆効果だったらしく、彼は更にばつが悪そうにうつ向いてしまった。
えーと、これはどうするべき?
対応に困っていると、摂紀お兄ちゃんが助け船を出してくれる。
「ほら、汀。紅緒が困ってるからシャキッとしな」
摂紀お兄ちゃんは汀様の背中を軽く押すと私の前に来させた。
そして、椅子に座っている紅斗の腕を掴むと
「じゃあ、二人で仲良く話すんだよ。僕達はその辺彷徨いてくるから。行くよ、紅斗」
「え!?あ、うん」
二人で病室を出ていってしまった。
助け船じゃなくて、お節介だったようだ。
「「……………………」」
む、無言が辛い……。