紅の葬送曲
「紹介する。彼女は俺の付き人をしている小鳥遊菖だ」
彼の紹介でその女の人は静かに頭を下げるが、上げた途端思い切り睨まれた。
え、私、睨まれるようなことしたっけ?
あ、大事な主を殴ったわ……。
「菖は江の姉で、前任の俺の補佐官だ。仕事内容は菖に聞け」
顔が似てると思ったら、やっぱり小鳥遊君のお姉さんか。
優秀な感じの小鳥遊さんが前任の補佐官で付き人をしていたなら、何で私が彼の補佐官になったのだろう?
そんな疑問を抱えながら、私も自己紹介をする。
「浅井紅緒です。ご指導宜しくお願い致します」
頭を下げると、衝撃的な言葉が頭の上から降ってきた。
「嫌」
その一言に私は驚いて、顔を上げた。