紅の葬送曲
でも、その言葉よりも傷ついたのは彼女が寿永隊長が生きていることを信じていないことだ。
彼女は完全に彼が死んだと思っている。
死んだと思い、全てを私のせいにしている。
別に私のせいにしても構わない。
だけど……。
「……貴女は寿永隊長が生きていると思ってないんですか?」
「凌は死んだわ。あの爆発と倒壊に巻き込まれて生きているはずがない」
「何でそう断言できるんですか?遺体は見つかってないのに……」
「……貴女、責任逃れをするつもり?これだから卑しい殺人鬼の娘は嫌よ」
操様は怪訝そうな顔と言葉に、私の堪忍袋の緒は切れてしまった。
「責任逃れ?私は逃げてない!」
「何を言って──」
「寿永隊長が……寿永さんがこうなったのは私のせいです。でも、私の存在を否定したら、寿永さんがしたことを否定したと同じことじゃないんですか!?」
捲し立てるように言うと、操様の顔に戸惑いに歪む。
彼女の家族を愛している。
不器用で分かりづらいかもしれないけど、ちゃんと愛してる。
愛してるからこその彼女の言葉を私は逆手にとって、責めるべき相手が私ではないことを知って欲しかった。
いや、別に私は責められても良い。
ただ……、ただ一つだけ……。