紅の葬送曲

───────────────



───────────



──────



──



「し、死ぬかと思った……」




私はヘロヘロと車から降りると、既に到着していた小鳥遊君達が駆け寄ってきた。





「思ったより早かったね。って、浅井ちゃん、どうしたの?」





「あ、芦葉さんの運転で殺されるかと思った……」





紅斗達を助ける前に、私は味方に殺されるかと思った。




それはもう、芦葉さんの運転は某テーマパークのアトラクション並に恐ろしかった。





「あー、芦葉さんの運転は最悪だよね。俺も初めて乗ったとき失神しかけたし」




小鳥遊君は苦笑いを浮かべながら、私に持ってきた拳銃を手渡してくる。





受け取ると、それはやっぱり重かった。





拳銃は命を守るものでもあるけど、奪うものでもある。





拳銃の重さは命の重さと同じように思えた。





「浅井ちゃんは実戦がほぼ初めてだね。此処2ヶ月平和だったしね」





デモの監視や鎮圧行動は何度かしたけど、命のやり取りをする実戦は初めてだ。





訓練では何とかなってたけどこれは訓練ではなく、実戦。





一つの間違いが大きな間違いとなる。








< 499 / 541 >

この作品をシェア

pagetop