紅の葬送曲
「さてと……、いっちょやるか……」
小鳥遊君が腕をくるくると回すと、その隣では佐滝さんが首を鳴らしていた。
私も気合い入れないと……。
私は拳銃を腰に着けているホルダーにしまうと、ポケットから髪を結ぶためのゴムを取り出しそうとした。
ショーとといえど結べる位の長さだから戦うとなると邪魔になる。
ゴムを探してポケットをまさぐっていると、指に固いものが当たった。
不思議に思い取り出してみると、それは寿永隊長が愛用していた腕時計だった。
腕時計は壊れて、彼が行方不明になった時間のまま止まっている。
寿永隊長……、見ててください……。
壊れた腕時計を握りしめるとポケットにしまい直し、代わりにゴムを取り出して髪を結んだ。
「よし、突入するぞ」
羽取さんの合図で、私達は廃ビルの中へと踏み込んだ。
紅斗、摂紀お兄ちゃん……無事でいて……。