紅の葬送曲


「玖下さん!しっかりしてください!」




小鳥遊君と芦葉さんが壁と床にナイフで手足を拘束するようにされていた摂紀お兄ちゃんを助けている。






摂紀お兄ちゃんの体や顔には紅斗同様に殴られた跡や切られた跡がある。






何で安倍明晴達はこんなことをするのだろうか?





切碕を復活させるために奴の子供である私達が必要なんでしょ?






崇拝する人の子供である二人を何でこんなにも痛めつける必要があるの?






「安倍明晴!紅斗の目を返せ!」





私は紅斗の左目を持ちながら羽取さん達の攻撃を避けている安倍明晴に向かって叫んだ。





「おやおや、紅緒。育ての親に対して何という口の聞き方ですか?悪い子ですね」





安倍明晴の顔が狐に変わったかと思うと、一瞬にして私の目の前に現れる。




「!?」





何で、安倍明晴はあそこに──。






羽取さん達の方を見れば、佐滝さんがトンファーで横殴りに空間を切り裂いていて、床に真っ二つに切れた紙切れが舞った。





「陰陽術!?」





「やべぇぞ、一飛!紅緒と紅斗が!」






「行かせないよ」





羽取さん達が急いでこっちに走って来ようとするけど、二人の目の前にはアンジェロさんが立ち塞がった。






「浅井さん!紅斗!」






「通さぬぞ」




二人に代わって芦葉さんが助けに来ようとするけど、彼の目の前にも楊蘭が立ち塞がった。






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