紅の葬送曲
「紅緒……俺はいつだってお前と紅斗の味方だ……」
琉ちゃんが苦しそうに吐き出したその言葉は偽りのない真実なのだと直感的に思った。
「俺はお前達を守れれば、それで良い……。恨まれたって死んだって良い……」
「何でそれまでに私と紅斗を……?」
私は手に触れてくる琉ちゃんの手に触れた。
琉ちゃんは穏やかに笑うと何かを言った。
でも、その言葉は安倍明晴の術の凶刃によりかき消された。
「司馬琉介、君は私の大切な小瓶を盗んだ……、その罪は重いです。──死になさい」
安倍明晴のその冷たい声音と共に、私の目の前は真っ赤に染まる。
そして、ゴ……トンと鈍い音を立てて琉ちゃんの頭が床へと落ちた。
頭を無くした体は力を無くして私の方へと倒れてくる。
──一瞬何が起きたか分からなかった。
何で琉ちゃんの頭が床にあるのか、何で倒れてきた体に頭が無いのか……。
何もかもが理解できなかった。
でも、その一瞬が終われば、私の口を絶叫が引き裂いた。
「ア……アァアアアアアアァァァアァァッッ!!!!!!」
「浅井ちゃん!」
小鳥遊君が駆け寄ってきて私から琉ちゃんの体を引き離した。