紅の葬送曲
Ⅵ
「凌!?」
「お前、何で……」
「まさか、幽霊!?足……ある!」
寿永隊長の突然の帰還に、小鳥遊君と羽取さん、佐滝さんは慌てふためく。
でも、紅斗と芦葉さんは慌てる様子はなかった。
「生きてると思ってた……」
「僕に見えてなかったし、死んでないとは思ってました。お帰りなさい、寿永隊長」
「ああ」
寿永隊長は頷くと、私の方を見た。
最後に見たのは町外れの洋館で爆発に巻き込まれる直前の強い言葉と共に浮かべられた笑顔。
もう見られないと思っていたのに、彼は今私の前で穏やかに笑っている。
「上司が戻ってきたのに、何の一言もないのか?補佐官殿?」
彼の苦笑いに、何か言わないとと思った。
でも、言葉が出ない
代わりに出るのは涙だけだった。