紅の葬送曲
【終曲】
ピーポーピーポーピーポー。
赤い光と共に、紅斗と摂紀お兄ちゃんを乗せた救急車は遠ざかっていった。
「紅斗と玖下に付き添わなくて良かったのか?」
遠ざかる赤い光を見ていると、寿永隊長が私の横に立った。
「紅斗に小鳥遊君が、摂紀お兄ちゃんには佐滝さんが付き添ってくれたので大丈夫です。それに、私の兄達は簡単に死ぬような人たちじゃないので」
二人とも重傷だけど、簡単に死ぬような二人じゃない。
だから、大丈夫。
「それより、寿永隊長こそ病院に行かなくて良いんですか?死にかけてましたよね」
「死にかけてない。気を失っただけなのに死んだと勘違いしたのはお前達だろ?」
ギロリと睨まれて、私は言葉を詰まらせる。
だって、あんなに苦しんでパタリと動かなくなったら誰だって……。
「い、いや、そうじゃなくて!」
「何だ?」
寿永隊長は犯人を尋問するような目で私を見てくる。
うぅ……さっきの優しい感じの寿永隊長は何処へ行ったのやら……。