紅の葬送曲
長い間、仲違いしていた親子があるべき姿に戻った。
親が子を愛する。
それは当たり前のことなんだろうけど、実は難しいことなのかもしれない。
親子と言えど他人、自分ではない。
自分ではない他人を愛するのはどんな哲学を学んだり、行動するよりも難しいことなのかもしれない。
それでも、愛するのが人なのかもしれない。
他人を愛して自分を愛して、人という形を成す。
それが出来なくなってしまったら、人は人では無くなってしまう。
考えれば考えただけ難しいことだ。
でも、人は人を愛する資格がある。
それは人が人であるために必要な資格なのかもしれない。
「人って凄いな……」
汀様にも聞こえないくらい小さな声で呟くと、私は空を見上げた。