紅の葬送曲
見上げた空には満天の星空が広がっている。
──死んだ人は星になる。
そんな話をよく聞くけど、それが本当なら星の数だけ人が死んでいるということ。
あの星の中には私の実母や寿永さん、小鳥遊さんや京、琉ちゃんや切碕がいる。
星となった人達も誰かを愛し、愛された。
そんな人達は遺された人達を空から見守っている。
キラキラと光って、愛する人達の歩む道を見守っている。
……この数ヶ月で私の周りでは多くの大切な人が死んだ。
それでも、今の私がいるのは誰かが私を愛し、見守っていてくれているからだ。
私は生きないといけない。
私を愛し、見守ってくれている人達の為に。
すると、何処からかショパンの別れの曲を弾くピアノの音が聞こえてきた。
民家の近くだから近くの家で弾いているのだろうか?
別れの曲というだけあって、悲しい旋律だから私は苦手な曲だった。
でも、何故か苦手という感じはない。
ピアノが奏でる別れの曲に耳を傾け、私は空を見上げながら目を閉じた。
静かな夜に奏でられる別れの曲……。
それはまるで、大切な人達を弔う葬送曲のように聞こえた──。
【end】