紅の葬送曲
「気分は悪くないか?頭痛かったりとかは?」
「な、無いです」
「なら、良い」
そう言って、彼は上着を片手に部屋を出て行こうとする。
怒ってたと思ったら、次は私の体の心配するなんて……。
ふと、さっき彼から受け取ったミネラルウォーターに視線を移す。
さっき何気なく受け取ってキャップを外したけど、ミネラルウォーターのキャップは既に開いていた。
頬に冷たい感触がした時に聞こえた音はそのキャップを開けた音だったらしい。
……もしかしたら、本当は彼は優しい人なのかな?
なんて思っていたら……。
「おい、さっさと自分の部屋に戻って着替えてこい。……昨日の失態は仕事で挽回してもらうから覚悟しろ」
寿永隊長はギラリと目を光らせてこちらを見た。
その目にぞわりと寒気がした。
──前言撤回、優しくない。