紅の葬送曲
その臭いが一番強い場所、現場についてその臭いの原因が判明した。
そこには血塗れの女の人の遺体が壁に寄りかかるようにして座っていた。
でも、ただ血塗れなだけじゃなかった。
酷い殺され方をしたようで腹部を真ん中から切り裂かれ、収まっているはずの内臓が外に出ている。
「これは酷いな……。羽取さん、佐滝さん」
寿永隊長は顔をしかめると、現場にいる二人の男の人に声をかけた。
「おう、来たな。久し振りじゃねぇの、凌」
目つきが悪く、言葉遣いも少し荒い彼はまるで友達に挨拶するように寿永隊長に向かって手を上げた。
「菖ちゃんと江君も久し振りー」
そんな彼の隣にいるもう一人眼鏡をかけた彼も小鳥遊姉弟に親しげに手を振る。
「それで、どうなの?【あの事件】との関係性は?」
寿永隊長は遺体に近付くと手を合わせ、手袋をはめた。
「俺も一飛も信じたかねぇが、【あの事件】と同じだ」
場の空気が一気に張りつめたものになる。
ふと、寿永隊長が話しかけた二人の視線が私へと向けられた。