紅の葬送曲
「彼女は?」
眼鏡をかけた男の人が私を見定めるような目で見てくる。
「俺の新しい補佐官になった浅井紅緒」
「ふーん。つーか、凌、良いのか?」
「何が?」
「その子、吐きそうな顔してんぞ」
「はぁ!?」
目つきが悪い男の人の指摘で、寿永隊長は私の方を振り返った。
初めての殺人現場がこんなにスプラッタだとは予想外だった。
私は必死に込み上げてきそうになる吐き気を堪えていた。
「此処で吐くなよ!?お前、落ち着くまでそっちに行ってろ。江、連れて行け」
私は一度小鳥遊君に連れられて、その現場から離れようとした。