紅の葬送曲


「彼女は?」



眼鏡をかけた男の人が私を見定めるような目で見てくる。





「俺の新しい補佐官になった浅井紅緒」




「ふーん。つーか、凌、良いのか?」




「何が?」




「その子、吐きそうな顔してんぞ」




「はぁ!?」




目つきが悪い男の人の指摘で、寿永隊長は私の方を振り返った。





初めての殺人現場がこんなにスプラッタだとは予想外だった。




私は必死に込み上げてきそうになる吐き気を堪えていた。




「此処で吐くなよ!?お前、落ち着くまでそっちに行ってろ。江、連れて行け」




私は一度小鳥遊君に連れられて、その現場から離れようとした。





< 77 / 541 >

この作品をシェア

pagetop