紅の葬送曲
父さんの……呪い?
つまり、切碕の呪いなの?
呪いなんて非現実的なことがあるわけがない。
そう信じたかったけど、寿永隊長のことを何も知らない私には紅斗の言うことが真実なのか嘘なのかも分からなかった。
何より、寿永隊長が否定しなかった。
「黙れ。お前の父親が……切碕がいなければこんなことにはならなかった……。父さんも死なずに済んだ……」
父さんって……寿永隊長の……?
訳が分からない。
寿永隊長は口元を乱暴に拭うと、紅斗を睨み付けた。
「お前達親子が父さんを殺したんだ!」
頭を鈍器で殴られたような感覚がした。
私に言われた訳じゃないのに、何故か自分に言われたような感覚に襲われた。
私は切碕とも紅斗とも関係ないはずなのに……。