紅の葬送曲
「一体、何なの……?」
訳が分からなくて、額に手を当てた。
脳裏にはさっきの眼差しと今朝見た夢が浮かんでいる。
『紅緒、早くおいでよ』
夢の中の男の子と紅斗の姿が重なる。
それに、夢の中の私は確かに夢の中の彼をこう呼んでいた。
『待ってよ、紅斗』
──と。
……分からない、何もかもが。
何でこんなに紅斗のことを気にかかっているのか。
何でこんなに切碕や紅斗を他人と思えないのか……。
すると、後ろから肩を叩かれる。
大袈裟と言われるくらい肩を揺らしながら後ろを振り向いた。
そこには顔色が良くない寿永隊長がいた。