紅の葬送曲
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本部に戻ると寿永隊長は執務室ではなく、そのまま自室に行ってしまった。
私はとりあえず小鳥遊君達がいるだろう執務室へ向かう。
「ただいま戻りました……」
「おかえりー、凌、浅井ちゃん。現場の様子はどう──って、凌は?」
執務室に入ると、案の定執務室のデスクで小鳥遊君がデスクワークをしていた。
そして、私の隣に寿永隊長がいないことに頭を傾げる。
「寿永隊長は自室に戻られました。現場で血を吐かれて……」
「凌、血を吐いたの?」
頷くと、小鳥遊君は「そっか……」と小さく呟いてデスクの椅子に寄り掛かって両手で顔を覆うと上を向いた。
小鳥遊君は多分、寿永隊長のことを全て知っているのだろう。
呪いのことも血を吐いた理由も、寿永隊長のお父さんのことも……。