また君に恋をする
着信の相手はこの間知り合ったばかりの、奏多くんだった。
前みたいな優しい声を耳にして、私はどこか安心感を覚える。
『何してんの?』
「保健室。サボってたら寝すぎちゃった。」
咄嗟に出た嘘に、自分でもびっくりした。
だけど、せっかくの電話なのに迷惑や心配をかけるのは嫌だった。
『次はは授業頑張るんだよ。』
「うん、わかった。奏多くんこそ学校は?」
『俺もサボり。』
「えー、ダメだよ。」
いつの間にかまた体をベットに倒していた私は、彼との電話に夢中になる。
『なぁ。』
「んー?」
『放課後、遊びに行かない?』
5限目のチャイムが鳴った頃、彼からそんな言葉が聞こえた。
高鳴る胸。
嬉しさが込み上げてくる心。
不思議なものだ。
彼は魔法つかいみたい。
「いいよ。行こう。」