また君に恋をする
街の人に変な目で見られないように、私は思い出すのをやめた。
信号が青なのに止まっている足。
深く呼吸をしたあと、点滅した信号を小走りで渡る。
「か、奏多くん!」
「よっ。」
軽く手を上げて笑う奏多くん。
「よーし、行くか。」
何の迷いもなく立ち上がった奏多くんは、私の手をとって歩きだす。
制服で来てよかった。
奏多くんも制服だ。
「どこ行くの?」
「いいとこ。」
「教えてよ。」
「着いたら喜ぶよ。」
私がいくら教えてと言っても教えてくれない彼は、少し楽しそうで。
車道側を歩いてくれたり、歩幅を合わせてくれていたり。
彼のそんな小さな優しさに、また嬉しさが込み上げてくる。
「ついた。」
「わあ…、」