また君に恋をする
‘‘また’’、私の体は勝手に動いていたと思う。
“あの時’’と同じように。
端の陰から彼に近づく人影。
…ああ、思い出した。
私は確か、夏祭りの日こいつらに拉致られて。
喜連のみんなが助けに来てくれて、帰りに殴られたんだっけ。
青色メッシュに…メッシュ…、きっとこいつは‘‘白鷺’’の総長だ。
私と白鷺の総長の話に、食い付く奏多くんにソッと近づく人影は手に物騒な物を持つ。
「桃!」
だけど、‘‘あの時’’よりは早くに反応できたかな。
私も…、‘‘奏多’’も。
走ってくる私を受け止めて、横から向かってくるソレにも素早く対応した。
「あぶねー…、」
ヒヤっとした表情に、またどこか余裕のある雰囲気。
私はこの人をどれくらいの期間、傷つけていたんだろう。
「大丈夫か?」
この心配気な、少し不安そうな表情をどれだけさせてきたんだろう。
「お前も今日で終わりだ。さっさと降りてこいよ」
奏多より少し前にいた龍也が、白鷺の総長に呆れたようにそう言う。