また君に恋をする
「こんにちは。奏多…、いますか?」
「え?」
「全部…、思い出しました。」
そう言うと、目を見開く香月さん。
おばあちゃんも春翔も、同じ表情をしていた。
それを見るたびに、私は周りに恵まれていると実感する。
「香月さん…、」
「あ、ごめんっ…。」
目に涙を溜めている香月さん。
それを見て泣きそうになる私。
私は他人なのに、涙を流してくれる香月さんの優しさは、姉弟そっくりだ。
「おいで。奏多なら寝てるから。」
涙を拭った香月さんは、家の扉をガチャっと開けた。
それに続いて中へ入る。
久しぶりにお邪魔するこの家に、私は本当に奏多の彼女だったんだと、実感した。
「わかるよね?」
「はいっ…!」
ニコッと笑う香月さんに、私も笑い返して2階の1番奥にある奏多の部屋へ向かった。