また君に恋をする
* 失ったモノ *
ここ、どこ…?
目を開けると周りに色はなく、全てが真っ白。
その中にポツンと取り残されたようにいる私は、ここで何をしているんだろう。
「…も、」
「え?」
「桃…。」
どこからか、懐かしく聞き覚えのある声がする。
周りは暗くて、何にも見えない。
…誰、?
「桃…、」
「誰?」
必死に探すけど、誰もいない。
何にもない。
…ここはどこ?
私、何してるの?
「桃。」
「え?」
だんだん近くなる声に、私の体は動きを止めた。
「…お母さん、」
「桃…。」
「お父さん、」
交互に聞こえる女の人と、男の人の声。
間違いない。
お父さんとお母さんの声だ。
「…お母さん、お父さん。」
「桃、大きくなったな。」
そう言われるけれど、私の目には何も映らない。
映るのは真っ白な色だけ。
白以外は何も見えない。