また君に恋をする
【芽衣side】
正直驚いた。
いや、驚いただけじゃ済まなかった。
…夢かと思った。
夢であってほしかった。
あんなに彼を愛していたのに。
「嘘でしょ…、」
桃の病室を出てすぐ、手すりにつかまりながら崩れ落ちた。
溢れて止まらない涙は、病院の床に落ちていく。
どうしてこうなってしまうのよ。
なんで…。
なんでよ…。
夏祭りの日、白鷺に連れてかれた桃を助けに行った。
私が倉庫に着いた頃には、幹部の春翔を連れて進んで行った奏多。
いつも冷静で余裕がある奏多は、桃のことになると何も見えなくなる。
そのくらい、愛されているんだよ?
それからしばらくして、ボロボロになった桃を支えて帰ってきた春翔。
涙の跡が沢山あった桃を、私は優しく抱きしめた。