また君に恋をする
辛い思いも、苦しい思いも、悲しい思いも、怖い思いも数え切れないくらいしてきた桃。
それでも私たちの前で、弱音1つ吐かない桃は強い。
奏多の彼女だからと言って、強がる桃を私はギュッと抱きしめた。
それから奏多の帰りを待っていたけど、何分待っても彼は戻ってこなかった。
喧嘩では負けなし、この街で奏多に勝てる人なんていない。
それくらい強い彼は、いつも秒殺なのに今回は珍しく遅かった。
日が暮れて、龍也は倉庫に戻ると言う決断をした。
奏多なら大丈夫。
誰もがそう思っていた。
もう、何も起こらないと思っていた。
また楽しく笑えると思ってた。
だけど、夜の9時頃。
龍也の携帯にかかってきた1本の電話を理解するのに時間がかかった。
…現実を受け入れたくなかった。
言葉を飲み込みたくなかった。
「桃が意識不明の重体で運ばれた。」