また君に恋をする
小さく響いた龍也の声に、倉庫はシンと静まった。
…嘘だ。
目にジワリと涙が溜まり、頬を熱い雫がポタリとつたった。
夏なのに、足や手は小さく震えて、出したいのに声は出ない。
龍也は、唖然として動けなかった私を引っ張って大きな総合病院に向かった。
病院に着いて、我に返る。
走ってはいけないこの場所をお構いなしに走って、受け付けまで行く。
「綾瀬桃は?」
「ご家族の方ですか?」
「友人です。」
もたもたしている受け付けにイライラしながら、返答を待つ。
「西棟の3階です。」
返ってきた答えを聞いて、お礼も言わずに龍也とまた走り出す。
桃…。
西棟の3階に着いて廊下を曲がってすぐ、ソファに座る奏多と春翔を見つけた。
「龍也さん…、芽衣さん…。」
私たちを見つけて弱々しく名前を呼んだ春翔。