また君に恋をする
*・*・*・*
そして迎えた放課後、私は屋上に向かった。
見送ってくれた芽衣を背中に、ゆっくりと階段を登って行く。
ガチャ
古びた扉を開けると、背を向けて立っている男の人がいた。
…きっとあの人だ。
さっさと済ませて帰ろう。
「あのー…、」
大きな背中に小さな声をかけると、男の人は少しピクリとして振り返った。
夕日に反射して、顔はあまり見えないけど着ている制服が水沢のものではなかった。
「呼び出してゴメンね。東高3年の宮脇(ミヤワキ)です。」
「あ、綾瀬です…。」
何で東高の生徒がここに?
ニコニコ笑う彼はどこか胡散臭くて、怖い。
ここに来たことを一瞬で後悔した。
「俺、ずっと桃ちゃんのこといいなって思ってたんだ。」
「はぁ…。」
「付き合ってとかそんな早とちりはしない。よかったら今日これからデート行かない?」