ぐっど・ばい
私鉄がニ路線交わる
小さなターミナル駅。
その駅前に
ハレーションを
おこしかけたような
蛍光灯の強い光を放つ。
二十四時間
眠ることがない
コンビニエンスストアー
《スマイルマート》
柚葉がバイトを初めて
三ヶ月。
やっと《研修中》という
プレートが外れた。
時給の良い夜間から
深夜の時間。
女子は採らないという
店のオーナーに頼み込んでなんとか雇ってもらった。
同じ時間帯のバイトは
全くやる気のない男。
高校を卒業してすぐ
柚葉は東京に上京した。
母一人子一人の環境で
『女優になりたい』
などという夢物語を
現実が許すわけなどなく
家出同然に専門学校へ
進学する真理恵と
一間の木造アパートに
住みはじめて一年が
過ぎていた。
上京してすぐ、
新橋のテレビ局の近くの
カフェでバイトをした。
『もしかしたら、テレビ局の人のメガネに叶うかもしれない』
幼い考えだった。
どこか垢抜けないが
目がクリッとして
幼い顔立ち、
手足がスラリとしている
柚葉はバイト初日で
先輩の男達の目を引いた
しばらくすると
露骨に柚葉目当ての客が
増えていくと、
女性スタッフからの風当たりが強くなってきた。