ぐっど・ばい
無視、嫌がらせめいた
悪戯に、柚葉がカフェを
辞めるまで、そう時間は
かからなかった。

その後は、
真理恵の紹介で
スナックに勤めたが
酔客の相手が駄目で、
暫く日雇い派遣をして
その日を食い繋いでいた。
生活のためのバイトに
追われる日々。

ある日、真理恵に
「柚葉って、夢ばかりで努力してないよね」
と、ビシャリと言われて
演技の勉強の
ワークショップに通い始めるため夜のコンビニの
バイトにかわった。

深夜零時。
何事もなければ
決まった時間に
店前に一台の
白い冷蔵車が停まる。

コンビニでは《日配》と
呼ばれる弁当やパン、
飲み物、デザートを
運んでくるトラック。

「おはようございます」と静かに入ってくる
ドライバーを
柚葉たちは《日配さん》と呼ぶ。
台車に《番重》と言われる細々と沢山の商品が入ったカゴを
背丈程の高さにつみ上げ
店に入り決められた場所に置いていく。
60個もある配達が
十分かからない。
柚葉はいつも
「すごいなぁ」と
単純に関心しながら
見ていた。

ドライバーとは
「おはようございます」
「お疲れ様でした」としか会話は交さないが
毎日来るドライバーを
「おじさん」と
声をかけられる間柄になっていた。
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