昨日の夢の続きを話そう
「__ほら、ユキちゃん! こんなにこぼしてるじゃない! ちゃんと座りなさい
って言ってるでしょう⁉︎」


後ろのテーブル席で、若いママがヒステリックな声をあげた。小さく振り向いて見ると、二歳くらいの女の子が、私と同じタマゴサンドを千切って食べていた。

すごくあどけない。
口の周りをいっぱい汚して。
大きな口を開けて、一生懸命。


『子どもができた』


名前も知らないような女と、先生も近い将来__。


「っ……」


本当は、仕事なんて休みたかった。カフェになんて来たくなかった。
ひとりで布団を被ってたい。誰の声も聞きたくない。

でも、ひとりでいたって考えてしまう。
ぐるぐるぐるぐる、お砂糖を入れたコーヒーを、スプーンで乱暴に撹拌したみたいに。


『本気じゃなかったんだ』


ずっと裏切られてて。私はそれに気づいてなくて。
私が弱って寝込んでたとき、頭を撫でてくれたあの大きくて温かい手は、その女に触れたあとの手だったの?

先生はいつもどこか、セピア色の空気を纏ってて、落ち着いた雰囲気の独特な心地よさに、私はいつも無邪気に甘えてなにも知らずに……。

バカみたい。


「こんなことになるなんて……」


こんな日が訪れるなんて、また大事な人を失うなんて。
思ってもみなかった。
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