昨日の夢の続きを話そう
「__ちょ、と待っ……⁉︎」


床にごつんてなんないように、さりげなく私の後頭部を手のひらで支える、その見計らったかのような手際の良さと言ったら!

飛び出すくらい、目をギョッと見開いている私に対し、覆いかぶさった砂岡くんは余裕ありげにふっと笑った。


「あの、ま、まま待って」
「?」
「さ、さっき、庭仕事したから」
「うん?」
「私、すごく汗かいたし!」
「俺もかいたよ。だからそんなこと、気にしない気にしない」


い、いやいやいや。
首筋にキスをしながら、当たり前っぽく悠長に言われても困るんですけど⁉︎

それに私、今日は……。


「ちょ、ちょっと待って、」


カットソーの裾から、胸元に侵入してきた手を制すると、砂岡くんはぴたりと動きを止めた。


「香澄さん、ここで止めるのは逆に不健全なんですけど……」


砂岡くんはわざと惚けたような言い方をして、頬にちゅっと口づけをする。


「で、でもちょっと、こちらにも脱げない事情が……!」
「事情?」


鼻先が触れ合う距離で、砂岡くんが呟く。
私の抵抗にもめげずに造作なく侵入してきた器用な右手が、今度は下にいこうとして、お腹の辺りの肌を撫で、そして。


「あれ?」


まさぐっていた砂岡くんの手の動きが止まった。
どうやらその毛羽立ってもこもこした手触りに違和感を覚えたらしい。
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