昨日の夢の続きを話そう
「絶対だよ? 絶対ほかの男なんか見ないで」
「そ、そんな心配いらないよ」
「俺だけの香澄さんでいてね」
「……史くんって。いつも頼もしいのに、ときどきすごく子どもっぽくなるよねぇ」
「年下扱いしないでよ、香澄さん。一個しか違わないんだから」


体を離したときに見えた、ちょっとムッとして膨れた史くんの顔が、もう思い余ってぎゅーってしたくなるくらい、いとおしかった。


「京都は新婚旅行ってことにしよう」


ふふっと微笑みながらも、枯れることなく次々に目に浮かんできていた涙が、突然ぱちんと弾けた。


「えっ……⁉︎」


新婚旅行?

それって__。


「ここが、俺たちの家だよ」


満足げに微笑む史くんと、顔を見合わせて笑った。

小さい頃、白くて大きな一軒家が写っているポスターを見て、いつかこんな家に住んでみたいなぁと思った。

その白い家の周りには、取り囲むように黄色い花が咲いていて、そのお日様みたいな絶対的に元気な色が、白い外壁にとてもよく映えていて、すごく素敵だなぁ。
この家に住んでる人は幸せなんだろうなと、うっとりしたのを覚えている。

辛い別れもたくさんあったけど、私はとても幸せだ。



END
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