昨日の夢の続きを話そう
ちくりと胸の奥が傷んだ。
水色のコーヒーカップを持ち上げ、息を吹きかける。
けど、コーヒーはどうせもうだいぶ温まっているので、それはただのポーズで。
溜め息を、隠すための。
「……断っておくけど、今から式の当日までに仕上げるとなると、クオリティーは期待できないよ?」
コーヒーを啜って私が言うと、麻衣子の表情から険しさが次第に消え、どんどん明るくなってゆく。
「う、うんっ! 大丈夫大丈夫!」
麻衣子は勢いよく頷いた。
キラキラした目で私を見つめながら。
「澪、作ってくれるのね? 私たちの結婚式のウエルカムボード」
「うん……私でよかったら、協力させてもらうね」
「やったー! 本当にありがとう! あ、これ良かったら参考にしてね」
早速バッグの中から雑誌を取り出した麻衣子が、私に差し出す。
それは結婚情報誌で、ぺらぺら捲ってみるとウエルカムボード特集のページに付箋が貼ってあった。
私がその周到さに面食らっている間に、椅子から立ち上がった麻衣子はステップを踏むような足取りで回れ右をする。
「じゃあ、前日の土曜までによろしくね!」
「あの、デザインはどんな風にすれば……」
「澪のセンスに任せる! 縛りがない方が自由にできていいでしょ?」
「えっ、で、でも……」
「あ〜、ごめん! ちょっとこのあと急ぎの用があるから、行くね! 澪が私たちの友達で本当に良かった!」
じゃあね、と早口で付け足して、麻衣子は急いでブルームーンを出て行った。
しきりに腕時計を確認してたから、たぶん打ち合わせの予定でもあるのだろう。
結婚式前って、スケジュールがぱんぱんで大変なんだよね。
そんななか、本番まで一週間を切ってからこんなイレギュラーな事態になって、焦る気持ちもわかる。
わかる、けどさ……。
麻衣子が置いてった雑誌を閉じ、私は今度は盛大に溜め息を吐いた。
水色のコーヒーカップを持ち上げ、息を吹きかける。
けど、コーヒーはどうせもうだいぶ温まっているので、それはただのポーズで。
溜め息を、隠すための。
「……断っておくけど、今から式の当日までに仕上げるとなると、クオリティーは期待できないよ?」
コーヒーを啜って私が言うと、麻衣子の表情から険しさが次第に消え、どんどん明るくなってゆく。
「う、うんっ! 大丈夫大丈夫!」
麻衣子は勢いよく頷いた。
キラキラした目で私を見つめながら。
「澪、作ってくれるのね? 私たちの結婚式のウエルカムボード」
「うん……私でよかったら、協力させてもらうね」
「やったー! 本当にありがとう! あ、これ良かったら参考にしてね」
早速バッグの中から雑誌を取り出した麻衣子が、私に差し出す。
それは結婚情報誌で、ぺらぺら捲ってみるとウエルカムボード特集のページに付箋が貼ってあった。
私がその周到さに面食らっている間に、椅子から立ち上がった麻衣子はステップを踏むような足取りで回れ右をする。
「じゃあ、前日の土曜までによろしくね!」
「あの、デザインはどんな風にすれば……」
「澪のセンスに任せる! 縛りがない方が自由にできていいでしょ?」
「えっ、で、でも……」
「あ〜、ごめん! ちょっとこのあと急ぎの用があるから、行くね! 澪が私たちの友達で本当に良かった!」
じゃあね、と早口で付け足して、麻衣子は急いでブルームーンを出て行った。
しきりに腕時計を確認してたから、たぶん打ち合わせの予定でもあるのだろう。
結婚式前って、スケジュールがぱんぱんで大変なんだよね。
そんななか、本番まで一週間を切ってからこんなイレギュラーな事態になって、焦る気持ちもわかる。
わかる、けどさ……。
麻衣子が置いてった雑誌を閉じ、私は今度は盛大に溜め息を吐いた。