愛色SHERBET
ソラちゃんは多分前者だ。


「よお朝倉っ!今年も同じクラスやぞ」


程よく制服を着崩したメガネの男子が駆け寄るのを皮切りに、教卓側で固まって話していた男女4、5人のグループが早々にソラちゃんの周りを囲んだ。


「えーっ!またか勘弁してやぁー」
冗談っぽくあしらいつつも楽しそうに返すソラちゃん。


グループのメンバー以外に、近くにいたクラスメイトや廊下を歩く生徒からも「おはよー」と声をかけられ、ソラちゃんはそれに笑顔で応えている。



女子の一人が、不安げに私の顔を見つめていた。いや、正しくは私とソラちゃんの顔を交互に見比べていた。
周囲の女子のなかで一際目立つ高身長。後ろで高く結われた短めのポニーテールがふわっと揺れる。


その視線に気付いたソラちゃんが、「俺の幼馴染み」と言って私を軽く前に突き出した。

「あ、幼馴染み…」
ふっと安堵の息を漏らすように彼女が呟くと、「あー、その子が転校生ちゃん!」と今度は別の誰かが叫んだ。


転校生。
そう聞いた途端、周囲にいたクラスメイト達が物珍しそうに私に注目する。

「どこから来たのー?」とか、「なんでー?」とか、ありきたりな質問攻めが始まる。
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