愛色SHERBET
「望月さーん。この荷物どこにお運びしますー?」


威勢のいい声を出しながら、青い作業着を着た若い青年が、引っ越しトラックの荷台から大きな段ボール箱を運んできた。

確かそれは私の私物が大量に詰められているはずだけど、その青年は程よく黒く焼けた腕でその重そうな箱を軽々と持ち上げている。


「あ、それは2階の奥の部屋に_」


部屋まで案内しようした私は、すぐさま父によって制された。


「あとは父さん達がするから、2人はそろそろ学校に行きなさい」

父に促されるまま腕時計を確認すると、時刻は8時を指している。



4月6日 午前8時


今日は、私がこれから通うことになる高校の始業式の日だ。

今朝方こっちに到着した私は、高校2年生の新学期早々、転入生として登校することになっていた。

まだ通学路すら分からない私の案内はソラちゃんがしてくれるらしい。
< 6 / 30 >

この作品をシェア

pagetop