一途な小説家の初恋独占契約
「安心して」
随分長くされた頬へのキスが最後かと思ったのに、顔を上げたジョーは、私を見つめて困ったように笑い、鼻の上にちょこんと乗っかるような口付けをした。
「……ダメだ。こんなことしてたら、我慢できなくなる」
「え?」
私を抱え上げて、そのまま2階へ運ぼうとする。
「ジョー!? 危ないから、降ろして!」
「嫌だ。落とされたくなかったら、しっかり掴まってって、この前も言ったよね?」
階段を前にして、私はおとなしくジョーの首に腕を回した。
ジョーの体温を間近に感じている方が、この不安定な体勢より余程安心できる。
「……ジョーは、すっかり逞しくなったね。柔道の授業で、泣きべそかいてたのに」
「泣いてない。それに、誰のせいでこんな体になったと思ってるの」
「え?」
私に顔を見られるのを阻止するかのように、ジョーが私を深く抱き込む。
「汐璃が、空手部の福田君がかっこいいとか言うからでしょ」
「え、そんなこと言った? ていうか、福田くんって誰だっけ?」
「……勘弁してよ」
ジョーが、私の首に頬を埋める。
今までで一番の至近距離に、首に回す手に力が入る。
「……あー、空手の全国大会に行った人だっけ? よく覚えてたね」
「忘れるわけないよ。好きな人の好きな人だ」
「誰の好きな人?」
「汐璃だよ。何言わせるの」
拗ねた物言いに、ジョーがホームステイしていた日々を思い返す。
「私は、福田君を好きだったわけじゃないよ。日本的なものをジョーが見たいかと思って、空手部の見学に連れて行っただけ」
福田君は、学校の有名人だったし、確かにかっこよかったから、アメリカから来たジョーに見せてあげるにはちょうど良いかと思ったのだ。
さすがに全国大会で入賞するだけあって、素人目にも型は決まっていたし、動きはキレがあった。
そういえば、高校生にしては、かなりの筋肉質で、引き締まった身体をしていたような気がする。
でも、好きだというより、有名人を見てキャーキャー言うような目で見ていたはずだ。
随分長くされた頬へのキスが最後かと思ったのに、顔を上げたジョーは、私を見つめて困ったように笑い、鼻の上にちょこんと乗っかるような口付けをした。
「……ダメだ。こんなことしてたら、我慢できなくなる」
「え?」
私を抱え上げて、そのまま2階へ運ぼうとする。
「ジョー!? 危ないから、降ろして!」
「嫌だ。落とされたくなかったら、しっかり掴まってって、この前も言ったよね?」
階段を前にして、私はおとなしくジョーの首に腕を回した。
ジョーの体温を間近に感じている方が、この不安定な体勢より余程安心できる。
「……ジョーは、すっかり逞しくなったね。柔道の授業で、泣きべそかいてたのに」
「泣いてない。それに、誰のせいでこんな体になったと思ってるの」
「え?」
私に顔を見られるのを阻止するかのように、ジョーが私を深く抱き込む。
「汐璃が、空手部の福田君がかっこいいとか言うからでしょ」
「え、そんなこと言った? ていうか、福田くんって誰だっけ?」
「……勘弁してよ」
ジョーが、私の首に頬を埋める。
今までで一番の至近距離に、首に回す手に力が入る。
「……あー、空手の全国大会に行った人だっけ? よく覚えてたね」
「忘れるわけないよ。好きな人の好きな人だ」
「誰の好きな人?」
「汐璃だよ。何言わせるの」
拗ねた物言いに、ジョーがホームステイしていた日々を思い返す。
「私は、福田君を好きだったわけじゃないよ。日本的なものをジョーが見たいかと思って、空手部の見学に連れて行っただけ」
福田君は、学校の有名人だったし、確かにかっこよかったから、アメリカから来たジョーに見せてあげるにはちょうど良いかと思ったのだ。
さすがに全国大会で入賞するだけあって、素人目にも型は決まっていたし、動きはキレがあった。
そういえば、高校生にしては、かなりの筋肉質で、引き締まった身体をしていたような気がする。
でも、好きだというより、有名人を見てキャーキャー言うような目で見ていたはずだ。