一途な小説家の初恋独占契約
「……ジョー」

会いたい。

ジョーに会いたい。

こんなに思ってくれているなんて、知らなかった。

あんなに言葉を交わしてきたのに、知らないことばかりだ。

でも、それを責めたり悔いたりしたいとは思わなかった。

ジョーの言った通りだ。
全部伝えたくても、到底文字だけじゃ伝えきれない。

今すぐ、ジョーに会いたい。

太陽と月はもう一回りし、月曜日の朝を迎えていた。

ろくに寝ていないのに、心はスッキリとしている。
営業部へ出勤し、久しぶりの通常業務に精を出す。
寺下部長には、今日は時間が取れないと言われ、明日面談することになっていた。

午前中は、内勤で事務仕事を済ませ、午後からは外回りに行くことにする。
先にランチを済ませておこう。

秋穂はいるかなと、いつもの習慣で思ってしまったところで、そろそろ秋穂も東京に戻ってくる頃だと気づいた。

秋穂からの連絡を待ちつつ、近場の書店をいくつか回り、夕方社に戻ると、待ち構えていたのは、混乱した編集部の人たちだった。






――ジョーが、いなくなった。
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