一途な小説家の初恋独占契約
*
ジョーが行きそうな場所に、心当たりはなかった。
会社の近くの古書街がチラッと頭を過ぎったけれど、それなら秋穂と一緒に向かっていただろう。
ホテルを引き払っていたということは、東京にいないのかもしれない。
日本国内だったら、いや、韓国でも香港でも台湾でも、行って戻ってくるくらいの時間はある。
どこから考えればいいんだろう……。
縋るような気持ちで、ジョーと交わしたメッセージを辿っても、日本にいる間はほとんど一緒にいたから、それは驚くほど少なかった。
事務的な連絡ばかりだ。
諦めて、秋穂からのメッセージを読み直す。
関西にいた間に、ヒントがないかと思ったのだ。
ジョーと共にした行動と、周囲の反響、それからジョーの言動へのぼやき。
一つ一つは短いメッセージに、変わったところはない。
だったら、ジョーが取材で語ったことは?
秋穂から送られた記事を、慌てて攫う。
たくさんあって、見きれていなかった。
膨大な文字に埋もれそうになりながら、ジョーを探す。
ジョー。
今、どこにいるの?
会いたいよ。
私は、今すぐ会いたい。
もう……あなたは私に会いたくないの?
――日本で行きたいところ?
たくさんあるよ。
でも、一人で行きたいところは、驚くほど少ない。
一緒に行きたい人がいるんだ。
昔、その人と訪れた場所をもう一度、一緒に訪ねたい。
――約束を果たすために。
これだ……!
ジョーが今、日本で会いたいと思ってくれる人が私ならば。
約束の場所は、きっとあそこだ。