キングの餌食になりまして。
あるとこにはあるもんだなぁ。お金って。
「ふう……」
仕事自体は単純作業。だけど体力仕事。ここにあるものはすべて高いものだから神経をつかうのもあって余計に疲れる。
急募のマークがついた求人の面接を手当たり次第受け奇跡的に就職できた、このホテル。
ここに来る前、あたしは大学生だった。
だけど――あの日。
『父さん、やってしまったようだ』
父が事業に失敗した。
トータル2000万の借金をそのくらいで済んでよかったととるのか、そうなる前に防げよとツッコミを入れていいものか、そんなことあたしにはよくわからないが。
一つわかるのは、父は経営者に向いていないということ。