キングの餌食になりまして。



「腕枕、疲れませんか?」

「全然」


 重さに耐えられたとしても、しびれたりしないのかな。


「……たくましい」

「汗を流すのが好きでね。隙間時間にジムに通ったりもしてるんだ」


 なるほど。だから筋肉ついてるんだ。


「忙しいのに時間の使い方上手なんですね」

「俺のこと暇人扱いしてたのは、どこの誰だっけ?」


 ……あたしです。


「いっとくけどね。俺には暇なんていよ」

「お仕事そんなに山積みなんですか?」

「使える時間は全部実知留のために費やしたいから暇なんかない」

「……っ!」


 優しく笑いかけてこられ、ドキドキして仕方ない。

 この際ちょっとくらいならヘンタイになってもいいのでいつものキングに戻ってくれやしませんかっ……。


「あたしの……どこがいいの?」

「え?」


 きょとんとする、奏さん。


「選り取り見取りなのに。『どこでも拾えるイシコロ』を好き好んで選択するなんて……狂気の沙汰というか」

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