キングの餌食になりまして。



「可愛い可愛い」


 頭をクシャッと撫でられる。


「子供扱いした……!」

「してないよ」


 ほんとかな……?


「さっきも言ったけど、出逢った当初は君のこと性的な目で見ていなかった。微塵も」


 最初からそんな目で見られても困ります。

 ただ……。
 微塵もってわざわざ付け加えることなくない?


 どうせあたしは色気だってない子供ですよ……。


「あ。拗ねてる」

「拗ねてないです」

「誘うようなこと言っておいて女の子として見てもらえてなかったのが、気に食わない?」

「べっ、別に……そんなことは……」


 否定したいのに図星をつかれたような気分になるのはどうしてなの。


「本当に心地よかったんだ。他愛もない話をして過ごすような、そんな関係が」


 実際のところは、他愛もない話ではなくセクハラするキングとそれをスルーしていた清掃係なのに。

 そんな言い方をすると美しい物語のように聞こえますね!?


「だから変わってほしくないという気持ちの方が強かった。この関係が男と女になってしまえば、すべて台無しになるような気がした」


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