キングの餌食になりまして。



「それは、『女性嫌い』って話と……関係がありますか」

「律からなにか聞いたの?」

「……少しだけ」

「おしゃべりだねぇ。律は」


 今更あの鬼支配人の言葉を鵜呑みにしているわけじゃないが、引っかかっていた。

 知れば知るほど、奏さんは恋に臆病になっていたように思えたから。


「たしかに俺はあまり女という生き物がそんなに好きじゃない」


(……認めるの?)


「だからといって男に走ってたわけじゃないよ?」

「……っ」


 ふと頭によぎるのは、支配人の言葉。


【どうして俺じゃダメなんだ……!】


「ちなみに律はノーマルだ」


 考えてることがバレた。


「普通に女と寝られるし男の恋人がいるわけじゃない。昔から俺に固執してて、たとえるなら極度のブラコン野郎って感じ」

「……な、なるほど」

「まあ、俺が誘えば目覚めちゃうかもしれないけど」

「っ、ダメです!」

「はは。絶対誘わないよ」

「…………」

「実知留ちゃんだけだよ。俺が求めてしまうのは」


 ぎゅっと抱きしめられ京極さんのぬくもりが伝わってくる。

 ぬくもり……が……。


「あの、奏さん」

「ん?」

「なにしてるんですか」


 なにかしようとしてますよね。

 準備始めてますよね。


「もっかいしよ」

「……エロキング」

「君が可愛すぎるのがいけないんだ」


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