キングの餌食になりまして。
大人の階段をのぼった。
……3段くらい。
初めての女の子にあんなことやこんなことさせるキングはやっぱり悪魔だと思った。
だけどそれらを受け入れている自分がいたことを思い返すと顔から火が出そう。
(あたし、こんな人間だったの?)
人を好きになると想像もしないことを言ったりやったりするらしい。
多くは、語るまい……。
「ひとつ、聞いてもいいですか」
「なんだい?」
わたしは、どのくらい
奏さんの心を軽くすることができるのだろう――。
「嫌な想いしたことある……とか?」
「なにが?」
「女性といて」
「たいしたことは、なにもないよ」
「でも……! それが、深い傷をつけたりって……あると思います」
愛し合ったあとにこんな話をするべきじゃないのかもしれない。だけど、どうしても言いたい言葉があった。
「単に女たちがみてるのは、いつも俺でなく肩書きや財産だったってだけ」
――!
「気づいたら自分を取り繕い、本音は心の奥にしまい込んでいたよ。どんなときでも」
「…………」
「なんで実知留が悲しい顔をするの?」
壊れやすいものでも扱うかのように、そっと頭を撫でられる。
「そんな俺だけど、君の前だと自然体でいられる。いたいと思える。それってすごい有り難いことでさ」
あたしの前だと……っていうのが嬉しい。
「もし君が『キング』に媚びへつらうような女だったら、俺は君に素顔なんて見せなかった」