キングの餌食になりまして。


 この人は冷たい態度をとっても怒らない。むしろ喜ぶ。きっと他の子からはデレデレされていて、つれないあたしが新鮮なのだろう。


 だからこのままの関係でいたいと思う。あえて媚びもしないし、飽きるまで一定の距離感を保ちターゲットを変えてもらう作戦。


「んー。ここじゃなぁ」


 なにがですか。


 口元に手を当てて考え事をしている京極さん。よからぬことを考えているに違いない。無視に限る。


「ねえ。スイート行かない?」


 だから私用で部屋を使おうとするな。そして勤務時間中なので私語を慎んでください。


「実知留ちゃーん」


 はやく飽きてくれないかなぁ。


「そろそろ俺も怒るよ?」


(……え?)



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