キングの餌食になりまして。



 ふと頭に浮かぶのは支配人の顔。

 あたしの家庭の事情を考慮し、ここに置いてくれた優しい人。

 問題なんて起こしたら――それも、キングの機嫌を損ねたなんてことになれば支配人にまで迷惑をかけてしまう。


 そう思うと……。


「さあ。どうする?」


 近づきたくなんて、ないけれど――。


「うん。そうそう。こっちおいで」


 選択肢は、ひとつ。


 あたしは京極奏に逆らっちゃいけない。

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