キングの餌食になりまして。


 京極さんに徐々に近づき、すぐ傍までいくとグイッと腕を引かれ抱き寄せられた。


「……っ、」


 細身の割にしっかりと広い胸板に顔をうずめた瞬間、スーツからなんだかふわりと甘い香りが漂ってくる。


「顔、あげて?」

「……!!」


 顎をクイッと持ち上げられ、反射的にギュッと目をつぶる。


「キスして欲しいの?」

「ち、違います……!!」


 慌てて瞼を開くと、


「じゃあなんで目を閉じたの?」


 こっちを見て微笑んでいる……。


「それは……」

「それは?」


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